PROJECT

3D DEKO PROJECT

WEBSITE
https://3ddeko.shop/

■ 思想
この作品を作り上げた意義は、コロナ禍以前より課題であった伝統工芸の作り手の減少や継承に対し、3Dデジタル技術やデジタルファブリケーションを用いて解決への道を探る事である。
またこの活動の根底をなす思想は、 現実世界にある形状の3Dデータ化を「かたちのハッキング」とし、 「閉じたかたち(デジタル化されていない形状)」を「開いたかたち(デジタル化された形状 )」に展開していくことである。
「閉じたかたち」をデジタル空間に開放し、様々なメディアに接続、表現が多様化することで、人々が知見を得る機会を促す。

■ 何をどのように作ったのか
私は徳島県の伝統的な文化の一つ、阿波人形浄瑠璃で使用される木偶人形のからくり機構も含めた3Dプリントによる完全な複製を現代の名工である職人の方監修のもと制作し、非常に高い評価を得た。
同時にそのアセットを次世代の子供達に伝えるプロジェクト「3DDEKO PROJECT」を立ち上げた。最新技術を学びつつ伝統文化の理解や興味を促す人形組み立てキットを開発し、属人化された伝統工芸技術の一部をSTEAM教育プログラム化。
人形が高価で子供達が触れないという課題を3Dプリントで複製することにより解決し、さらに体験できる文化財として人形を組み立て、職人の実制作の一部を追体験することが可能となった。

■ 何がしたいのか
職人、人形座、博物館、小学校など様々なステークホルダーと交渉しながら、3Dデータを多様なメディアに展開できる特性を活用し教育として社会に還元。
単に作品を制作するだけでなく、それを活用した具体的な体験を設計、関係組織や職人さんと直接交渉し、実現することに注力した。
また3Dプリントの複製が容易にできる特性は、仕事が奪われるという職人さんの危惧を生むが、キットをオンライン販売し、その販売価格の5-20%を阿波人形浄瑠璃の文化保存・継承活動組織等に寄付される仕組みを作り出すことで利点に変ようとする取り組みを試験的に行っている。
デジタルを入口とし間口を広げることで、本物の職人仕事や伝統文化への新たな興味をデジタルネイティブの世代に呼び起こし、同時にデジタル技術の活用による職人像も示すことで文化の進化的保存継承に繋げたい。

2021年 オリジナルマインド社 ものづくり文化展 入選
https://www.originalmind.co.jp/cultural_exhibition2020/2020/prix05.php

審査員コメント

中村 一(オリジナルマインド社代表)
伝統工芸の作り手の継承に対して、若者が興味を持ちやすい3Dデジタル技術を用いたこと、高価で触れにくいという課題を3Dプリントで複製することで解決していること、販売価格の5~20%を阿波人形浄瑠璃の継承活動に寄付する仕組みを作ったことなど、実現のためにネックとなる部分をことごとく解決され、関わる人すべてがWIN-WINとなっているところが素晴らしい。作品もさることながら、活動そのものが美しく、作者の温厚篤実な世界観が伝わってくる作品。

土佐 信道(明和電気)
民芸は、素材と、それを作る技術があってこそ作れる。たとえば「竹とんぼ」という玩具は、素材の「竹」と、それを刃物でけずる技術があってはじめて作れる。しかし、都会では竹を手に入らない。そして技術をしってる人がいなくなれば、「竹とんぼ」は消滅する。しかし3D DEKO PROJECTのような民芸のアーカイブムーブメントが広がれば、それらの消滅を止めることができる。もちろん、民芸は木や竹といった素材の魅力があってこそだ、という意見もあるだろう。しかし、あえてそれを切り離してデータ化することで、生き残る存在もある。そうしておけば、未来に竹に出会ったひとが、ふたたび再生することもできる。このプロジェクトが広がることを期待します。

第24回⽂化庁メディア芸術祭におきまして、阿波人形浄瑠璃のプロジェクト(3D DEKO PROJECT)が審査委員会推薦作品として選出されました。
https://j-mediaarts.jp/award/entertainment/

伝統的な文化工芸とデジタル技術を横断的に扱い、STEAM教育プログラムにコンバートする本プロジェクトが、文化庁のアワードで入選したことは嬉しく思います。